
自然が生んだ酸化の力で、未来を浄化する
OZONE

オゾンとは
オゾン(O₃)は、太古より自然大気中に存在し、酸素(O₂)と同じ元素から成る無色の気体です。
太陽の紫外線によって空気中の酸素から生成されるため、日差しのある戸外の空気中にも常に微量のオゾンが存在しています。
オゾンは「殺菌力」「安全性」「環境性」に優れており、医療現場、浄水施設、食品分野などで広く利用されています。
殺菌以外にも脱臭・脱色・有機物分解など多様な効果を持ち、使用後は自然に分解して酸素に戻るため、残留性がなく環境にやさしいのが特長です。
すでに食品添加物としても認められており、世界中で安全に活用されています。
また、特殊な技術によってオゾンガスを水に溶け込ませたものがオゾン水です。オゾン水は強力な殺菌・脱臭・漂白作用を持ち、気体オゾンよりも殺菌力が高く、従来の塩素系殺菌剤の数百倍以上の効果を発揮します。
01
再生可能エネルギーの導入拡大への貢献

オゾンはバイオマスエネルギーの利用効率向上に大きく寄与します。
沖縄には、サトウキビの搾りかす(バガス)やパイナップル残渣、木質系資源など未利用のバイオマスが豊富に存在します。
【仕組み】
オゾン前処理(オゾノリシス)によるバイオマス高度利用】
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砕いたバイオマス(バガス等)にオゾンガスを反応させる。
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オゾンがリグニンを選択的に酸化・分解し、糖分を取り出しやすい構造へ変化。
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その結果、メタン発酵(バイオガス生成)やエタノール・水素発酵効率が向上。
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これにより、従来は利用困難だった地域バイオマスを高効率な再生可能エネルギー源として活用可能に。
➡ 廃棄物削減と再エネ創出を同時に実現します。
02
水素・アンモニアの活用への貢献
【水素への貢献】
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仕組み①:バイオマスからの水素製造効率化
オゾン前処理はバイオ水素発酵にも有効で、水素生成量を2倍以上に増加させる報告があります。
→ 沖縄の地域資源から直接水素を製造する新たな道を開きます。 -
仕組み②:グリーン水素製造の水電解支援
オゾン処理により超純水に近い高純度水を生成。
→ 水電解装置の電極劣化を防ぎ、耐久性と効率を高める。
→ 安定したグリーン水素供給チェーンを支えます。 -
【アンモニアについて】
オゾンは化学的性質上、アンモニアの「合成」ではなく「分解(除去)」に作用します。
したがって、燃料製造としての直接的貢献は限定的ですが、排出処理・浄化技術として重要な役割を担います。
03
地域脱炭素化を担う事業者育成への貢献
オゾン関連技術を中核に、地域内で新たな環境ビジネスモデルの創出が期待されます。
【事業モデル例】
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A:バイオマス資源化事業
地域農家や工場からバイオ廃棄物を収集し、オゾン前処理後にバイオ燃料製造事業者へ供給。
→ 地産地消型のエネルギー循環を形成。 -
B:高水処理・省エネソリューション事業
上下水道・食品工場・ホテルなどに省エネ型オゾン処理システムを導入。
→ 電力消費を削減し、事業者のカーボンフットプリントを低減。 -
C:環境浄化・コスト削減事業
VOCや悪臭対策で大量の活性炭を消費している施設に、オゾン+触媒システムを提案。
→ 活性炭使用量を削減し、CO₂排出とランニングコストを同時に低減。
04
二酸化炭素排出削減への波及効果
オゾン技術は以下の観点でCO₂排出削減に寄与します。
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エネルギー効率の向上:水処理・排水処理時の消費電力削減
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化石燃料の代替:廃棄バイオマスからのバイオガス・水素製造
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間接的排出削減:薬剤・活性炭などの使用量削減による製造・輸送起因CO₂の抑制
まとめ
オゾンは、単体でCO2を直接回収・分解する技術ではありません。しかし、沖縄の地理的・産業的な特性(豊富なバイオマス、観光業に伴う水需要など)を踏まえると、再生可能エネルギーの利用効率を最大化し、事業の省エネルギー化を推進し、新たな脱炭素ビジネスを生み出すための強力なツールとなります。